放送法逐条解説の付録集

戦前の放送関係法令

無線電信法(大正4年法律第26号) ※廃止時のもの
 制定 大正4年法律第26号(大正4年6月21日公布)481頁
 改正 大正10年法律第62号(大正10年4月11日公布)313頁
 改正 昭和4年法律第45号(昭和4年4月2日公布)67頁
 改正 昭和24年法律第161号(昭和24年5月31日公布)号外(60)11頁
 廃止 昭和25年法律第131号(昭和25年5月2日公布)号外(39)1頁 ※同年5月2日から適用

第一條 無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス
第二條 左ニ掲クル無線電信又ハ無線電話ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ之ヲ私設スルコトヲ得
 一 航行ノ安全ニ備フル目的ヲ以テ船舶ニ施設スルモノ
 二 同一人ノ特定事業ニ用フル船舶相互間ニ於テ其ノ事業ノ用ニ供スル目的ヲ以テ船舶ニ施設スルモノ
 三 電報送受ノ爲地方電気通信取扱局トノ間ニ施設者ノ專用ニ供スル目的ヲ以テ電信、電話、無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信ノ連絡ナキ陸地又ハ船舶ニ施設スルモノ
 四 電信、電話、無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信ノ連絡ナク前號ノ規定ニ依ルヲ不適當トスル陸地相互間又ハ陸地船舶間ニ於テ同一人ノ特定事業ニ用フル目的ヲ以テ陸地又ハ船舶ニ施設スルモノ
 五 無線電信又ハ無線電話ニ關スル實驗ニ專用スル目的ヲ以テ施設スルモノ
 六 前各號ノ外主務大臣ニ於テ特ニ施設ノ必要アリト認メタルモノ
第三條 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ通信又ハ無線電話ノ機器其ノ装置及運用ニ關スル制限並私設ノ無線電信ノ通信ニ從事スル者ノ資格及配置定員ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第四條 私設ノ無線電信又ハ無線電話ハ其ノ施設ノ目的以外ニ使用スルコトヲ得ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ船舶遭難通信、氣象通信、報時通信其ノ他主務大臣ニ於テ公益上必要ト認ムル通信ニ限リ之ヲ使用スルコトヲ妨ケス
第五條 外國船舶ニ装置シタル無線電信又ハ無線電話ハ第二條ノ規定ニ依リ施設シタルモノヲ除クノ外之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ船舶遭難通信及航行中地方電気通信取扱局トノ通信ニ使用スルコトヲ妨ケス
第六條 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供セシムルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ吏員ヲ派遣シテ其ノ取扱ヲ爲サシムルコトヲ得
第七條 主務大臣ハ公衆通信上又ハ軍事上必要ト認ムルトキハ私設ノ無線電信、無線電話ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ設備ノ變更、使用ノ制限若ハ使用ノ停止ヲ命スルコトヲ得、無線電信、無線電話ノ混信防遏ノ爲必要ト認ムルトキ亦同シ
第八條 主務大臣ハ公安ノ爲必要ト認ムルトキハ私設ノ無線電信、無線電話又ハ外國船舶ニ装置シタル無線電信、無線電話ノ使用ノ制限、停止又ハ其ノ機器附屬具ノ除却ヲ命スルコトヲ得
  前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ當該官吏ヲシテ機器附屬具ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ除却セシムルコトヲ得
第八條ノ二 無線電信又ハ無線電話ニ依ル通信公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂スルモノト認ムルトキハ地方電気通信局又ハ地方電波管理局ニ於テ之ヲ停止シ又ハ當該無線電信、無線電話ノ施設者若ハ當該通信を發スル者ニ對シ其ノ通信ノ停止ヲ命スルコトヲ得
第九條 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ施設者本法、本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ其ノ無線電信、無線電話ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ使用ノ停止ヲ命スルコトヲ得
第十條 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ施設者其ノ無線電信又ハ無線電話ノ許可ヲ取消サレタルトキハ主務大臣ノ命スル所ニ依リ其ノ機器工作物ヲ撤去スルコトヲ要ス私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ廢止シタルトキ亦同シ
第十一條 私設ノ無線電信、無線電話又ハ外國船舶ニ施設シタル無線電信、無線電話ハ船舶遭難通信ノ取扱ノ依賴ヲ受ケタルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第十二條 無線電信又ハ無線電話ハ船舶遭難通信アリタル場合ニ於テハ直ニ應答シ救助上最便宜ノ位置ニ在ル無線電信又ハ無線電話ニ通報スヘシ
  前項ノ場合ニ於テ特定ノ事項ノ通報ヲ求メラレタルトキハ前項ノ規定ニ依ラス直ニ其ノ通報ヲ爲スコトヲ要ス
第十三條 主務大臣ハ不法ニ無線電信又ハ無線電話ヲ施設スル者アリト認メタルトキハ當該官吏ヲシテ其ノ施設ノ場所ニ立入リ機器工作物ノ檢査、機器附屬具ノ除却其ノ他相當ノ措置ヲ爲サシムルコトヲ得
第十三條ノ二 主務大臣ハ私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ機器、其ノ装置又ハ運用ニ關シ監督上必要ト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ其ノ施設ノ場所ニ立入リ機器工作物及關係書類ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十三條ノ三 前二條ノ規定ニ依リ當該官吏無線電信又ハ無線電話ノ施設ノ場所ニ立入ル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ證明スヘキ證票ヲ携帶スヘシ
第十四條 政府ハ公衆通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ノ施設ノ爲船舶ノ一部ヲ使用シ必要アルトキハ特殊ノ供給又ハ設備ヲ命スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ相當ノ使用料及特殊ノ供給、設備ノ實費ハ請求ニ因リ政府之ヲ支給ス
第十五條 公衆通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ニ依ル通信ニシテ無線電信、無線電話、電信、電話ノ事務又ハ船舶遭難、航行ノ安全、報時、氣象報告ニ關スルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ無料ト爲スコトヲ得
第十六條 許可ナクシテ無線電信、無線電話ヲ施設シ若ハ許可ナクシテ施設シタル無線電信、無線電話ヲ使用シタル者又ハ許可ヲ取消サレタル後私設ノ無線電信、無線電話ヲシタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ場合ニ於テ無線電信又ハ無線電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金銭物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒収ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徴ス
第十七條 私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ其ノ施設ノ目的以外ニ使用シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ場合ニ於テ無線電信又ハ無線電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金銭物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ沒収ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徴ス
  私設ノ無線電信又ハ無線電話ニ依賴シ通信ヲ爲サシメタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條 第五條ノ規定ニ違反シタル者ハ本法ニ依ル無線電信、無線電話使用ノ制限、停止、設備變更若ハ除却撤去ノ命令ニ從ハサル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス無線電信、無線電話ノ事務ニ從事スル者使用ノ制限又ハ停止ニ違反シテ使用シタルトキハ其ノ從事者ニ付亦同シ
第十九條 第六條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ無線電信、無線電話ノ使用ヲ拒ミ又ハ第十四條ノ場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ船舶ノ使用ヲ拒ミ若ハ特殊ノ供給設備ヲ爲ササル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十條 電気通信省ノ地方機関ノ取扱中ニ係ル無線電信又ハ無線電話ノ通信ノ秘密ヲ侵シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
  無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ通信ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  本條ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十條ノ二 無線電信又ハ無線電話ニ依リ知得シタル前條ニ該當セサル無線電信又ハ無線電話ノ通信ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十一條 不法ニ無線電信、無線電話ニ關スル料金ヲ免レシメタル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條 他人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ無線電信又ハ無線電話ニ依リ虚僞ノ通信ヲ發シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  公益ヲ害スル目的ヲ以テ無線電信又ハ無線電話ニ依リ虚僞ノ通信ヲ發シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  船舶遭難ノ事實ナキニ拘ラス無線電信又ハ無線電話ニ依リ船舶遭難通信ヲ發シタル者ハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス
  無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者第一項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金、第二項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ十年以下ノ懲役、第三項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス
第二十二條ノ二 無線電信又ハ無線電話ニ依リ公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂スル通信ヲ發シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
  無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ從事スル者前項ノ行爲ヲ爲シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十三條 無線電信ノ事務ニ從事スル者電信官署ノ取扱中ニ係ル無線電信ニ依ル電報ヲ正當ナ事由ナクシテ開披、毀損、隱匿若ハ放棄シタルトキ又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス但シ刑法第二百五十八條又ハ第二百五十九條ニ該當スル場合ハ刑法ノ例ニ依ル
第二十四條 無線電信ノ事務ニ從事スル者正當ナ事由ナクシテ公衆通信若ハ軍事上必要ナル通信ノ取扱ヲ爲ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
  無線電信ノ事務ニ從事スル者正當ナ事由ナクシテ第十一條若ハ第十二條ノ規定ニ依ル船舶遭難通信ノ取扱ヲ爲ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス
  船舶遭難通信ノ取扱ヲ妨害シタル者ハ罰前項ニ同シ
第二十五條 無線電信、無線電話ニ依ル公衆通信若ハ軍事上必要ナル通信ヲ障碍シ又ハ之ヲ障碍スヘキ行爲ヲ爲シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條 第十六條乃至第二十五條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二十七條 本法ニ基キテ爲ス當該吏員ノ職務ノ執行ヲ拒ミ之ヲ妨ケ若ハ忌避シ又ハ第十三條若ハ第十三條ノ二ノ規定ニ依ル檢査ノ際當該吏員ノ尋問ニ對シ答瓣ヲ爲サス若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十八條 電信法第四條、第十一條乃至第二十一條、第二十三條、第二十四條及第四十五條ノ規定ハ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ニ之ヲ準用ス
第二十八條ノ二 無線電信又ハ無線電話ニ非スト雖高周波電流ヲ使用シ通報信號ヲ爲スモノニ關シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ規定ヲ準用ス
第二十八條ノ三 主務大臣ハ無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ニ及ホス障碍ヲ防止スル爲必要ト認ムルトキハ高周波電流ヲ發生スル設備ニシテ無線電信、無線電話又ハ前條ノ通報信號施設ニ非サルモノニ關シ其ノ施設者ニ對シ設備ノ變更ヲ又ハ特殊ノ設備ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ設備ノ變更又ハ特殊ノ設備ニ要シタル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
  前項ノ規定ニ依ル補償ニ關スル決定ニ對シ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月内ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十九條 本法ハ航空機ニ施設スル無線電信及無線電話ニ關シテ之ヲ準用ス
第三十條 本法ノ適用ニ付テハ航空機ハ之ヲ船舶ト看做ス

 
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※ 無線電信法の改正経緯については、電波監理委員会編『日本無線通信史』(電波監理委員会 1951)第十三巻(無線關係條約法令及び年表) p.6~を参照

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